有給の9割を使って3週間、現地に入る

OBOGインタビュー:安藤 啓さん(あんぱん)

 

高校生のとき、阪神淡路大震災のボランティアに踏み出せなかったことへの思いを胸に、RQに参加したという安藤啓(ひろむ)さんは、会社務めでありながら有給を調整して、3週間現地に滞在。心のケアを中心に関わった安藤さんの活動への思いを聞いた。

──プロフィールをお聞かせください

現在33歳、会社員。独身で一人暮らしです。契約社員として鉄道の車内販売員をしています。生まれは東京で関西育ち。現在は東京に住んでいます。

RQのボランティアとして現地に2回行ってきました。最初は、5月の13日から3週間、2回目は8月に4日間ボランティアに入りました。1回目の際に、一年分の有給休暇の9割を消化しましたので、再び長期で入ることは難しい状況です。

──ボランティアに参加したきっかけは?

高校生の時に阪神淡路大震災があり、ボランティアに参加しようと思ったのですが、その時にはなかなか勇気がなくて踏み切れずに、結局参加することができませんでした。その時の後悔のようなものがあって、今回はどうしても参加したいと思ったのです。

また、災害ではありませんが、オーストラリアで9カ月間海外ボランティアをした経験があります。日本人のいない小さな町の学校に派遣されて、日本語や日本文化を教える日本語教師のアシスタントをするというもので、同時に英語を学ぶことができるというプログラムでした。
本当はもっと早くボランティア活動に参加したかったのですが、社会人ですから簡単ではありませんでした。有給休暇を取るために3月から調整に入りましたが4月中は間に合わず、5月の参加になりました。

 

デリバリー中に行って、大いに喜ばれた肩揉み

──現地での活動内容を教えてください

阪神淡路大震災でも活躍した「ひまわりおじさん」が、3月に気仙沼市立小泉中学校に洗濯機やシャワーを設置したのがきっかけで、「ひまわりサロン」という交流施設ができました。RQがその活動を一緒に行うことになりました。その活動チーム「チームひまわり」のリーダーとして約2週間活動しました。最初から「ひまわりサロン」のリーダーをやるつもりで行ったので、おもちゃを買って持って行ったりしました。活動内容はお茶を飲みながら話を聞く「お茶っこ」が中心で、平日は年配の人たち、午後からは子どもたちが集まって来て、さまざまな活動をしました。参加者は多い時で20人くらい、少ない時は2〜3人でした。

そのほか登米では、物資のデリバリー・チームにも参加しました。物資の配送が中心でしたが、被災者のお宅に配送中に時間があった時に、肩もみを試してみたところ非常に喜んでくださいました。またそのことをチームリーダーさんが夜ミーティングで取り上げてくださって凄く嬉しかったのを覚えています。また、フロアチーム、かけはしチーム(温泉でなく遊園地送迎の日)、歌津での発砲スチロール撤去作業も行いました。

せっかく長期で来たので、自分が希望していた「ひまわりサロン」だけでなく他のチームも見てみたいと思い色々なチームで活動させて頂いたわけですが、各チームのリーダーさんたちに快く迎え入れていただきました。どこのチームでの活動でも大丈夫という心構えが大事な中で、わがまま言って自分の思い通りの活動が一通りできたことは凄く感謝していますし、RQのよい所のひとつだと思いました。

8月の際にも交流系の活動を行いました。
6月に「ひまわりサロン」は閉じられたので、その後「風の丘カフェ」で避難所や仮設住宅に入られた人たちとの交流活動を行いました。場所は、小泉小学校と小泉中学校の間の丘の上のテントでした。

もう一カ所南三陸町中瀬地区の仮設住宅の集会場でも交流系の活動を行いました。そこでは、たとえば自転車に乗って子ども達とサイクリングに行きました。

交流系の様々な活動では、特技を見せたり一緒に楽しんでもらうとか、ボランティアのアイデアや発想から活動を決めて、多様な活動を行いました。ひまわりの時には様々な特技を持った方々が参加してくださいました。プロの美容師、紙芝居師、和太鼓、カイロプラクティック、水彩画、チンドン屋……、皆特技はそれぞれ違っても想いはひとつ、被災者の方々を元気づけたいという一心で来てくださいました。皆さんにも本当に感謝申しあげたいです。ありがとうございました。

 

想像以上に情熱的で魅力的な人が多かったRQ

──周囲の反応はどうでしたか?

家族に対しては、一人暮らしなので特別なことはありません。ボランティアに行くことを報告した程度です。海外ボランティアに行く際には父に反対されましたが、頑固に押し通してしまいましたから、今回も止めても無駄と思ったかもしれません……。

会社の対応としては、有給休暇をまとめて消化させて頂いたので、その点は感謝しています。正社員であればボランティア休暇の制度がありますので、それを利用できないのは残念です。

──参加前後でボランティアのイメージは変わりましたか?

災害ボランティアは今回が初めてです。考え方自体はそれほど変わりませんでしたが、なんでこんなに皆さんが無償で熱い思いで一丸となって活動できるのかという点に感動しました。もちろん、目的がひとつで期間限定というのもありますが、想像以上に情熱的で魅力的な人たちがたくさんいて、レベルの高い活動をしている。いい意味でイメージは変わりました。

交流系以外にもデリバリーのチームにも参加しましたが、そのチームが非常にレベルの高い活動をしていました。ミーティングの内容が非常に濃くて、感心するほかなかったですね。

 

──RQの感想をお聞かせください

RQを選んだひとつの理由に、自宅と本部が近かった(徒歩15分)ということがあります。それ以上に重要だったのは、RQの活動の内容が幅広く、自分の得意な活動ができると思ったからです。

じつは、私は力仕事やアウトドア、団体行動は苦手で、マイペースな性格です。子どもや年配の方とのふれあいが得意だと思いましたので、交流系の活動をしたいと思いました。

いろいろボランティアを調べている中で、ガレキ撤去作業の作業内容が多いのですが、RQには「心のケア」というものがHPにあったので、ここでやってみようかなと思ったのです。自分の特技を生かせる関係性にあると思いました。無料のバスもあり、滞在場所もある、食事もでるので、参加しやすいと思います。たとえ体力がなくても、自分のできることを生かせる場所だと思いました。また、長期で入る人は裏方をすすめられると聞いていましたが、それはありませんでした。「ひまわりサロン」などの希望に添った活動をすることができたことは、RQならではだと思います。

 

苦手なアウトドア環境で、自分自身も鍛えられた

──自分の中で何か変わったことはありますか?

苦手なアウトドア環境でしたが、最初に思い切って長期でボランティアに入れたことは、自分にとって非常に貴重な経験となりました。普段と違う環境に身を置いて、毎日の活動内容も濃く、鍛えられたという感覚もあります。

ボランティアをしたことで何か成果があったかと聞かれれば、それは分かりません。被災者の方にご迷惑をおかけした部分もあります。「そんなに同情されたくない」と、ひとりの方を傷つけてしまいました。奥が深いと言うか難しいということは、改めて感じました。

もちろん、なるべく向こうの人のためになるような活動をと心がけていましたが、はたしてどこまで役にたったかということは、こちらから伺ってみたいところです。

──今後の活動で考えていることは?

当面、来年3月までは有給休暇がないので、短期で関わっていきたいと思います。もちろん、現地のボランティアから帰って来てこれで終わりというわけにはいかない。東京本部ではできるだけイベントに参加するようにしていますし、自分ができる範囲で関わっていきたいと思っています。

これからボランティアに参加したいと思っている人には、ぜひ勇気を出して行ってみてほしいと申し上げたいです。

一人一人の力が大きな力を生み出します。震災から半年経ちましたが現地でやることは次から次へと出てきます。もう半年経ったからボランティアへ行かなくても大丈夫だろうと考えている方、決してそんなことはありません。復興への道のりはまだまだ遠く険しいものです。被災地のため、被災者のためだけでなく、自分のためにもなります。ぜひご自身の目で現地を見て、何かを感じ取り帰って来てほしいと思います。これからの皆さんの活躍をご期待致します。

 

取材・文:京谷 卓

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