現地での体験を生かし、後方支援に尽力する

OBOGインタビュー:塩本美紀さん

 

面倒見のよい姉貴分として、東京本部スタッフからも厚い信頼を寄せられている塩本美紀さん。自身の海外生活での実体験から、復興に向けて踏み出した被災地の女性たちを後押しする、手仕事プロジェクトを進める彼女が語る、手仕事と復興の相互作用とは?

コンスタントに通う決意で東京本部に参加

◆プロフィール

東京本部にほど近い、谷中にお住まいの塩本さん。ご主人の海外赴任にともない、合計9年間ほど、ベトナムやリビアなどで生活されていました。
現在は、自宅で編集やDTPの仕事をなさっています。パンフレットの作成や、本を出版する際のデータ作り、校正、デザインなど、すべてお一人で手掛けているそうで、6.30 RQシンポジウムの冊子の制作にも尽力してくださいました。

いまの被災地の状況は、赴任先での暮らしと重なる部分があるとおっしゃる塩本さん。
詳しいお話を伺いました。

◆ボランティアに参加したきっかけ

震災当日は、名古屋にいる主人のお姉さんに会いに行く予定でした。
いったんは名古屋行きを取りやめ、夫婦でずっとテレビで報道される様子を観ていましたが、結局翌日の朝一番で名古屋へ行くことを決め、その後10日間ほど滞在しました。

東京に帰る私達を心配した親戚が、有難いことに日用品や食料を山のように持たせてくれて、とても2人では使いきれない量だったので、物資提供したいと思ったのがきっかけです。

RQの存在を知ったのはそれからすぐのことでした。
モンベルのアウトドア義援隊が個人からの物資を受け付けていたので、何度か天童に物資を送りました。
ほどなくRQが発足し、同時に東京本部が自宅近くにあることを知ったので、すぐに東京本部でのボランティア希望者に登録をしました。

2011年4月から東京本部で、現地ボランティア派遣班と西日暮里’Sとして活動しています。私の場合、仕事のスケジュールや家のことを考えると、現地で長期間活動することは難しいので、東京本部に週に数回1年間はコンスタントに通おうと、当初から考えていました。

 

 

ライフワークとシンクロする、手仕事プロジェクト

◆現地での活動

東京本部で後方支援を長くやっていくつもりなので、私の軸足は常に東京なんです。
でも被災地の現状をちゃんとこの目で見ておかないと、東京本部での活動も活きてこないと思って、6月に唐桑で3日程、8月に登米で5日程活動しました。

唐桑ではNPO法人「森は海の恋人」の活動に興味があったので、牡蠣の種付け準備(漂着物の片づけ作業など)をしてきました。

登米に行ったときはちょうど、これからの活動の軸となる聞き書きと女性支援が始まったばかりで、それらに東京で関わっていくにはどうしたらいいか、模索している時期でもありました。
運よく活動初日に女性支援のリーダーとじっくり話すことができたので、手仕事プロジェクトに注力することを決め、次の日からバングラディシュに旅立ったリーダーのかわりに留守番リーダーを名乗りました。
翌日からは中瀬町仮設住宅の集会所で編み物1日講座に参加し、地元の女性陣からお話を聞いたり、メモっこの部屋にあるものを全部読ませてもらって、手工芸や郷土料理に関する情報をピックアップしました。

もともと手工芸が好きで、以前から草木染や友禅を習っています。
遠からずまた海外転勤もあるだろうし、いつかは主人の実家がある小豆島に住むことになるかもしれないので、どんな場所にいてもできるファブリック系の趣味を極めたいとはいつも思っています。
手仕事プロジェクトは、私がライフワークにしようと考えていることにすごくシンクロしているので、登米に行ってすぐ「私のやるべきことはこれなんだ」と確信しました。

今回は震災という原因があって、被災地の皆さんは不自由な生活を余儀なくされていますが、奇しくもわたしが体験したリビアでの生活と少し似ているところがあると思ったんです。
当たり前ですが赴任先は見知らぬ土地ですから、一から人間関係を築かなくてはいけません。とくにイスラム国リビアでは、出かけること自体が不便なうえ、行ける場所も多くありませんでした。そんなとき、集まってお茶を飲むばかりではなく、手工芸などを教えあうことで、人の輪がとてもよい方向に広がっていきました。
また、激しく変化した環境、自由に出歩くのが難しい状況で、朝起きたときに「今日はこれをやろう」と思えることがあること自体が、ストレスを和らげる効果もあると経験上感じています。
形あるものを作り出すという純粋な喜びも味わえるので、これからも関わっていきたいと思います。
9月にも、また登米で、手仕事プロジェクトに参加してきました。

◆周囲(家族・友人)の反応

みな快く送り出してくれています。一度決めたら曲げない私の性格を知っているので、反対しても無駄だと思ってるのかも。(笑)
一番の理解者である主人は、ついのめり込んでしまいそうな私をいつも気遣ってくれています。

 

 

震災を機に改めて、人と人の繋がりの大切さを実感

◆ボランティアに対するイメージ、参加前・参加後

自分がいま正しいと思うこと、やるべきだと思うことをしているので、ボランティアに参加しているという意識はあまりありません。
モチベーションも活動当初からあまり変わらないです。でも手仕事プロジェクトに関わってからは、もともと好きなことなのでかなり盛り上がっているかもしれません。
人間はやっぱり、水とタンパク質やカルシウムなどといくらかのミネラルで構成されている生き物。この震災で、あまりに電子化された社会は無理があると再認識しました。生き物として生きていく力、自然と向き合うことで磨かれる感性、人との繋がりを大切にしたいと思います。

◆RQの感想

RQを選んだ理由は、かなり早い段階で長期支援を視野に入れて活動していたから。
自然体験活動、環境教育の広報活動をしている、日本エコツーリズムセンターが母体なのも選んだ理由の一つです。
地域支援や地域復興など、将来田舎に帰る身としてはとても身近な問題。
都会と地方の幸せな関わり方がこれからのテーマだと感じています。これからも双方の懸け橋であり続けてほしいです。

◆自分の中で何か変わったことは?

活動当初からあまりブレてないですね。これからも正しいと思うこと、やるべきだと思うことをマイペースにやっていきたいです。

◆今後はどうしたい?

8月の登米入りでこれからの方向性が決まったので、現地ボランティア派遣班、西日暮里’Sとしてだけでなく、今後は手仕事プロジェクトにも継続して関わっていきます。

 

取材・文:東京本部 Natalie Cook

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