自己完結で、どんどん動かす。そこがRQの強さ

OBOGインタビュー 谷平和優(たにひらかずまさ)さん

東日本大震災 ボランティアOBOGインタビュー 谷平和優さん

谷平さんは、今年の夏、4回もRQの現地に入り、番頭チームを支えてきた大学1年生。大学の友だちよりもRQ友だちの方が多いかもしれないという、登米の常連ボランティアだ。一貫して“番頭チーム”という裏方チームに徹してきたが、それが自分の性に合っているという。「番頭チームは、誰よりもいろんな人と話ができるんです。RQきっての情報通だと思いますよ」と、仕事の楽しさを語ってくれた。

 

RQの参加は、夏までに4回

もともとボランティアには興味があったのですか?

ぼくは、昔から一人旅が好きで、東北へも中学生のころから一人で何度か行っていました。急に思いついて旅に出ることは珍しくないんです。だから、震災が起きて直ぐ、いても立ってもいられなくなって東北に向かったのも、自分にとっては自然なことでした。4月5日から1人で塩竃市に入り、大学が始まる5月過ぎまでずっと被災地をまわって、いったん東京に戻り、今度は石巻に入りました。とくに、ボランティア活動に興味があったわけではありませんが、やっぱり被災地の惨状を目の当たりにして、「また行かなきゃ」っていう気持ちが抑えられなかったんです。

いろいろな活動のなかからRQに参加を決めた理由は?

学生同士のネットワーク「被災地×学生つなぎ隊」という支援活動で知り合った仲間から、被災地体験の話をして欲しいと頼まれて、ワークショップに参加したんです。その会場にRQのチラシがあったんですよ。

ぼく自身、夏休みは東北に行くと決めてはいたんですが、一度はボランティア団体での活動もしてみたかった。でも、ほとんどの団体は日程が決められたツアーばかりで、自分の都合と合わなかったんです。だけど、RQは1日でも長期滞在でも構わないと書いてあったので「これだ!」と思って、すぐにホームページから申し込みました。

RQでは登米でずっと番頭チームの仕事をしていました。送迎で唐津や歌津へも行きましたが、現地で作業をしたことはありません。ひたすら番頭です(笑)。でも、考えてみたら8月から9月まで、ほかの団体の活動にも顔を出しながら、全部で4回もRQの現場に入ったことになりますね。番頭チームはいつも人が足りないので、自分が行かないと大変だろうなと気になっちゃうんです。最初に行ったときも、10人くらいいた番頭チームがお盆に半分になっちゃうというので、8月16日から旅行に行く予定だったのに、急遽、滞在をその日の朝まで延ばして引き継ぎを済ませ、その足で羽田に行きました。さすがに、そのときは大変でしたよ。

 

番頭の仕事は、「よろずや」なんです

最初から番頭の仕事に興味があったのですか?

最初は、何も決めずに登米に行ったんです。そして、夜のミーティングに出たら、番頭チームに長期の人が欲しいという話になって、たまたまその日は自分しか長期滞在の人間がいなかったんです。長期といっても5日間だけですけれど(笑)。車が運転できて長期の人。それなら自分だと手を挙げたんです。それから、もうひとつ。RQに来る方は、まず現地を見て、そこで作業をしたいという思いが強いんです。だからキッチンや総務、番頭チームに参加する人は少ない。でも、ぼくは春にさんざん被災地は見ていますし、初めて来た人たちには絶対に現地を見てもらいたいと思った。だから、番頭は自分がやろうと思ったんです。

番頭と決まったら、さっそく次の日から送迎便の運転です。引き継ぎの方と一緒に走って道を覚えました。じつは、ぼく、免許を取ってまだ2年なんです。でも、RQに参加する前に福島に行って「車がなきゃ活動は無理だ」と思ったので、自分で運転の練習をしておいた。それが早速、役に立ちました。でも、7人乗りの大きな車は初めてでしたから、最初は怖かったですよ。すぐに慣れましたけれど。

番頭チームの仕事を簡単に教えていただけますか?

番頭チームは「縁の下の力持ち」「ボランティアのためのボランティア」などと紹介されていますが、ひとことで言えば「よろずや」なんです。

作業としては、まず「くりこま便」の送迎。東北新幹線のくりこま高原駅と、東北本線の石越駅から本部への送迎で1日3往復します。もらい湯の送迎も番頭ですね。登米本部では近隣の方がお風呂を貸して下さったんですが、集落の道は細くて暗いので車で送迎していました。それから、登米本部にある18台の公用車の点検。本部から唐桑に行くチームは、朝6時に本部を出て夕方5時頃に戻って来るまで、毎日130キロは走るんですが、タイヤやオイルの交換も番頭が見ていました。あとは、本部の掃除やゴミ出し、畳干しや毛布の洗濯など、気づいた人が提案して必要な作業を行います。こうした仕事を、いつも番頭3、4人で切り盛りしていました。

 

時刻表が好きなので、送迎バスのダイヤはぼくが組みました

番頭の仕事の魅力はなんですか?

ぼくはあまり体力もないし、車の運転が好きなので「くりこま便」の運転を率先してやっていました。バスにはいろんな人が乗るのでおもしろいんですよ。外国の方も結構いるし、「ベトナム勤務から直行で来たの!」なんてキャビン・アテンダントの方が乗ってきたり。ボランティアさんは作業ごとに現場が分かれますけど、番頭はいろんなチームの人と話ができる。口伝いに現場の様子も分かるし、たまには愚痴も聞く。現地に来たボランティアに最初に会って話をするのも番頭です。簡単な生活や作業の説明も送迎車のなかで、ぼくらが話します。まさに、温泉街で旗を持ってる旅館の番頭、RQの顔なんですよ。そういう意味では、総務の方よりも情報通かもしれません。

番頭チームには個性的な人も多いですね。帰る日は決めてないという長期滞在の人や、仕事を辞めて来た人もいましたし、自転車で日本一周中という人もいました。車の整備が得意な人、大工さん、シャボン玉を作るのがうまい人…。みんなの特技を活かしながら、デッキのペンキを塗り直したり、床に散乱した長靴用に収納棚を作ったり、地域の方に頼まれて仮設住宅の看板も作りました。司法書士の資格をいかして、被災者の書類手続きを手伝っている人もいましたね。僕は時刻表を見るのが好きなので、鉄道ダイヤとにらめっこをしながらRQバスの運行表を組みました。

 

活動期間に縛られない、自由で自立した活動

RQに何回も通っているのはなぜですか?

なぜこんなにRQに行きたいのか、改めて考えてみたんですが、やっぱりボランティアは自発性が大事で、それを一番強く感じられるのがRQなんです。“夜ミーティング”は全員参加で1時間半はかけて行うし、意見がある人は手を挙げて提案できる。リーダーの発言でも合意が取れなければ否決されちゃう。完全な民主主義なんですね。“やりたい”という意欲が強い気がします。活動への参加も自分で決められますから、長期の人は自分で生活管理をしながら活動していました。よその団体では、車ひとつ借りるにも管理が厳しくて、運転手や保険の関係からボランティアは運転できないこともしばしばですが、そういう面もRQは自己完結・自己責任でやらせてくれます。

そして、RQの活動は地域とのつながりが強いのも魅力です。たとえば、もらい湯で伺うお宅には伝言ノートが置いてあって、お家の方も読めるようにしてある。そうして通ううちに、顔を見れば「あなた今度はいつ来るの」と声をかけていただけるようになり、だんだん自分の顔で活動する部分も大きくなってくるんです。

 

番頭チームはボランティアを見送る時に、いつも「行ってらっしゃい」と声をかけるという。そのせいかどうか、本当にリピーターが多い。RQでは学ぶことが多いし、活動を通して仲間も増えたという谷平さん。東京でも番頭チームと連絡を取り合って、話をしたり飲みに行ったりしているそうだ。個性的なメンバーでワイワイやるうちに、ボランティア仲間とも被災地の方とも人間関係が深くなる。だから、何度でも行きたくなる。東北の自然や人の素晴らしさにも触れ、「機会があれば住んでもいいかなと思うようになりました」というのも、言葉だけではないかもしれない。

 

取材・文:山崎玲子

 

東日本大震災 ボランティア OBOGインタビュー 谷平和優さん

このエントリーをはてなブックマークに追加
Post to Google Buzz