「災害救援と野外教育」から「自然学校と復興支援」へ

RQ市民災害支援センター 広瀬敏通総本部長の過去の活動記録より

 RQは「エコツーリズムで地域を元気にしよう!」を合い言葉に集まったネットワーク「NPO 法人日本エコツーリズムセンター」が中心となり、 活動の主旨に賛同した市民有志で結成されました。メンバーの多くは農山漁村に拠点をおき、「自然とともにあるくらしの知恵に学ぶ」視点で活動を行ってきた方たちです。行政の手が届かない部分を補い、集落支援につながるような活動を実践してきた方も数多くいます。RQは、こうしたメンバーの野外教育や自然体験活動で培ったスキルを活かし、公的支援の手が届きにくい小規模の避難所を中心に支援活動を行ってきました。

 3月から始まったRQの支援活動も、7月から本格的復興に向けた第2フェーズに入り、足湯や聞き書き、手仕事やキャンプといった人と人の交流、地元の祭りや運動会における絆の結び直しの支援に軸足を移しています。そして、6月30日に開催されたRQシンポジウムでは、今後のRQの姿として「自然学校を通した復興支援」というビジョンが呈示されました。
 なぜ、自然学校が復興の軸となり得るのか。RQの発起人であり総本部長でもある広瀬敏通は、日本の自然学校の草分けともいえる「ホールアース自然学校」の創始者でもあり、それをベースにこれまでも災害支援を行ってきました。そして、その支援の記録のなかに、自然学校と災害支援のつながりを見ることができます。そこで、広瀬の過去の寄稿(1995年3月2日「阪神淡路大震災に思うこと」、2004年11月8日「自然活動推進協議会(CONE)ニュースレター「災害時に役立つ野外教育」」、2005年1月10日「ボランティアコーディネート」、2006年12月16日「ホールアースの災害救援活動とポリシー」、2008年8月 東京ガス 環境コラム「被災地に行こう!」)を再構成してここに掲載します。RQの活動と考え方を理解する一助となればと思います。

構成:山崎玲子

 

 


「災害救援と野外教育」から「自然学校と復興支援」へ  広瀬敏通

(1)災害救援と野外教育

災害救援と野外教育

 自然学校と災害救援との関係というと、ピンと来ない人も多いと思います。しかし、自然学校で身につけたコミュニケーション能力や対人理解能力、野外技術などは、混乱の極みにある災害発生の現場で驚くほどに役に立ちます。野外教育やキャンプが、本来、非常時に備えるトレーニングが起源だと考えれば、それは当然のことなのです。

災害時に役立つ野外教育者

ホールアース自然学校は、1970年代初頭からアジアで障害児の村づくりやカンボジア難民救援の活動を経て戻ってきた私が日本で始めた、自立した生き方暮らし方の実践から生まれました。戦争や自然災害で最も被害をこうむるのは社会的な弱者です。子どもや障害者、老人、貧しい民が逃げ場もなく打ち据えられていく現実に、“自ら立つ”生き方を選ぶことで弱者を出さない社会をつくる、その実践が自然学校活動でした。1982年、自然学校の設立と同時に、カンボジア難民の医療協力に尽くした旧メンバーを中心に「JMTDR(国際緊急援助隊)」の設立が呼びかけられ、私もコーディネーターとして設立時に関わりました。この組織は現在、外務省の国際緊急援助機関として活躍しています。

 1995年の阪神淡路大震災や2004年の中越大震災で、私は現場でボランティア組織をつくり被災者の救出と避難所の運営にあたりました。このとき、心がふさがれる災害現場で、きめ細やかに動きポジティブで和やかなチームを作ることは、まさに自然学校活動の実践であり、このために私たちは日々の実践をしてきたのだと思いました。自然学校で身につけたコミュニケーション能力や対人理解能力、野外技術などは、混乱の極みにある災害発生の現場で驚くほどに役立ちます。災害地でのボランティアに福祉系団体と同じくらい環境、野外系団体が多いこともこれを裏付けています。
(「自然活動推進協議会(CONE)ニュースレター」2004年11月8日)

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