(5)自己完結型ボランティアの必要性 

手づくり新聞で被災者に情報を

壊れた道を突破して、地震6日目にようやく陸の孤島となっていた川口町にたどり着いたホールアース自然学校チームは、ワゴン車にボランティアセンター設置に必要な資器材や食料を満載して役場の災害対策本部との協議に入り、直ちにボランティアセンターを設置しました。そして、ボランティアや救援物資を迎える体制づくりと同時に、被災状況の確認や情報発信のしくみづくりに取りかかりました。

 この町はライフラインが遮断され、一片の情報もないまま住民が孤立していました。そこで、ボランティアセンター設置2日目には『日刊ぬくもりニュース』を発行し、ボランティアの手で町内各所に点在していた被災者の方に手渡しで最新の情報を届け、その翌日には川口町ボランティアセンターのHPを立ち上げました。これによって川口町は全国とオンラインでつながり、半日で5千件のアクセスを記録しました。

ボランティアのためのボランティア

 ボランティアは続々と集まり、多いときには1日に800人にもなりました。小さな集落が集まった人口5,700人の川口町のなかに、突如“最大の村” ボランティアセンターが出現したのです。この新しい村は、地区長も住民もしょっちゅう替わります。しかも特定の目的を持った村です。もともとの川口町住民にとって、これは脅威でもあります。この新しい村はどんな役割を果たすのか、自分にどう関わりがあるのか、きちんと理解できている住民はいなかったでしょう。村を運営する私たち自身も、いつまで居るのか、何ができるのか、町の中長期的復興計画のなかにボランティアはどう位置づけられていくのか、しっかりと見極めた舵取りが欠かせなくなってきます。同時に、これまでの被災住民へのケア業務に加えて、ボランティア村の衣食住をみる福利厚生部門、健康被害を予防する衛生管理部門なども重要になってきました。「ボランティアのためのボランティア」です。

 さらに活動が長期化すれば、腰を据えて支援に入るボランティアも多くなり、ボランティア自身の活動のために使える物資、資金も必要になってきます。しかし、災害救援の初期段階においては個人における自己完結型のボランティアを軸にした活動が不可欠です。救援物資や義援金など被災者向けの支援に手をつけるわけにはいきません。自己完結のしくみを個人のレベルから集団全体のレベルまで実現し、撤退時にはクリーンな状況を確保するためにゴミのゼロエミッションも達成しようと私たちは頑張りました。目的を共有し、そのために大人数がひとつの有機体のように動き、かつ自己完結のアクションができること。たとえ短命であっても、その価値と理由はあるのです。
(「ボランティアコーディネートとは」2005年1月10日)

<前のページへ 1234|5|678 次のページへ>

「災害救援と野外教育」から「自然学校と復興支援」へ  広瀬敏通

関連リンク

このエントリーをはてなブックマークに追加
Post to Google Buzz