緊急支援活動期として位置づけた第1フェーズを終え、新たな支援「第2フェーズ」を開始するための「RQシンポジウム」が2011年6月30日、東京・国立オリンピック記念青少年総合センターで開催されました。会場には330人を超える参加者が集まり、会場は熱い熱い熱気に包まれました。
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第1部
RQの成立からこれまで
司会:中野民夫、川嶋直
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現地で活動する人、被災地のリーダーの方々の生の声に何よりも強い説得力と、熱い思いを感じました。
被災地の概況とRQの活動
佐々木豊志(RQ東北現地本部本部長・くりこま高原自然学校代表)
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今回の震災では、主体的に判断して問題を解決する能力、他人を思いやり感動する心、健康な体という生きる力が試されていると思います。
震災直後の緊急物資の輸送から始まり、3月20日の登米本部の立ち上げ、続いて河北、唐桑、歌津の拠点が立ち上がり、さまざな活動を行ってきました。
当初の防寒着、下着、作業着など物の支援から、子どもたちのケアやお茶っこ、温泉の送迎など、活動も多様になっていきました。
これは本当に凄いことで、ひとりひとりの前向きな力がつながった結果だと思います。誰に言われたわけでもなく被災者のために自ら動く、アイデアが自発的に生まれ実現していく力、RQに集まってきた人の人間力、本当にすごいものがあります。
RQの活動についてのデータ
中垣真紀子(RQ東京本部・NPO法人日本エコツーリズムセンター理事・事務局長)
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これまでの活動に関するデータをご報告します。集まった支援金は、7282万7682円です。
このうち支出しているのは19,898,963円。使途の内訳は、以下の通りです。
食料費 | 1,026,534 |
旅費交通費 | 148,628 |
車両費 | 3,836,017 |
資材・消耗品費 | 3,393,288 |
賃借料 | 1,649,895 |
活動支援費 | 9,890,000 |
福利厚生費 | 45,601 |
総合計 | 19,898,963 |
ボランティア活動を長期にわたって支えてくれるさまざまな団体に活動支援費として、989万円を支出しています。
参加したボランティアは、現地で延べ1万2075人、東京1,495人で関東からが8割、その内9割が東京に住んでいる人です。
年齢層は、最年少の12歳から最年長の73歳と、非常に幅広く男女別では、男性55%に対して女性45%となっています。一般的なボランティアでは、参加者は女性が多いのですが、災害ボランティアということもあり、男性が多いのが特徴です。
GWは、多くのボランティアが集まりましたが、GW開けには激減するのではという懸念から、説明会などでフォローした結果、一時期、減ってしまったボランティアの数も、再び増えています。
滞在日数は平均3、4日で、平日でも平均的にボランティアが活動しています。
*上記の収支は6月20日現在の概算です。第1フェーズ(6月末現在)の収支は改めてご案内します。
*活動支援金は、来年3月までRQの活動を継続できるよう極力節約しながら使っています。第2フェーズ以降、厳しい冬を越すには新たな体制も必要になり、現状の支援金残高では不足することが予想されています。
皆さまには引き続き、活動支援金のサポートをお願いいただければ幸いです。
RQを支えるボランティアリーダーの声
「各地ボランティア拠点の活動報告」
RQ登米:新垣亜美(ガッキー)さん
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寒さに耐えながら、ひたすら物資を運搬した当初に比べ、今は情報の提供や心のケアも重要になってきています。
片づけ作業だけでなく、地元の人とお茶を飲みながらお話しする活動もあります。2泊3日の予定で来たのに、自分にできることを見つけて1か月以上滞在した方もいます。
今後、仮設住宅に移ると、仕事や生活の面で新しい課題が出てきます。まだ現地に来ていない方はぜひ1度来てほしい。現地の人と接すれば、今後も東北のことを気にし続けることができるはずです。
RQ河北:塚原俊也さん
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RQ河北は、石巻災害復興協議会を通して他団体とも連携して活動しています。
昼間は「マッドバスターズ」と呼ばれる泥かき、夜は地元の中学生の勉強会が中心でしたが、これからは「仮設住宅コミュニティづくり支援」「こどもまちづくりクラブ」「地域再生の拠点作り→ソーシャルビジネスへ」を3本柱に活動していきます。
津波は天災ですが、今回は人災も起きています。今回の震災を、社会を考えるきっかけにしていきましょう。
RQ唐桑:三嶋義和(いくぞう)さん
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ボランティアセンターを構えている海岸亭は、元ドライブイン。
地域復興に強い思いを持ち自らラーメン屋も開業したオーナーを中心に、RQを含む3団体が同じ場所に寝泊まりしながら得意分野で活動を行っています。
唐桑では高台と漁港で被害状況が全く異なり、緊急支援期が過ぎると、ボランティアとしても支援の仕方が難しくなってきます。
団体同士の結束を強めるために「唐桑ボランティア団」を結成する動きもあります。
RQ歌津:鈴木淳子(十姫)さん、清水昭男さん
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歌津は、南三陸町歌津地区 伊里前契約会との連携を密にしています。
水も電気もガスも通っていない状態でしたが、地元の方との連携によって、ソーラーパネルやコンポスト、保存食づくりなど、少しずつ生活環境を整備してきました。
支援活動も、漂流物の片づけだけでなく写真クリーニングなどに広がっています。まだまだ、やらなければいけないことがあるので、1人でも多くの人に来てほしいです。
RQ東京:八木和美(みずか)さん
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コールセンター・記録情報班・物資班・現地ボランティア派遣班など、現地の状況の変化に合わせて次々にチームが作られ日々入れ替わるボランティアさんがスムーズに作業を引き継げるようさまざまな工夫がなされてきました。
現地に行きたくても家庭や仕事の事情で行けない人、西日暮里の本部の近くに住んでいる主婦の方々など、さまざまな人のさまざまな想いによって活動が支えられています。
被災地からの声
「地元リーダーの現地報告」
畠山信氏(気仙沼市 NPO法人森は海の恋人副理事長)
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千葉正海氏(南三陸町歌津地区 伊里前契約会会長)
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佐藤徳郎氏(南三陸町志津川 中瀬地区区長)
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漁師の命である船を守るために船を沖に出し、その途中で津波に巻き込まれたものの、津波を泳ぎ切って生還した畠山さん。
大津波が来たらどうするか。数日前に津波が来たことから、3月11日の午前中に家族で話し合っていた、まさにその日の午後、地震と津波に遭遇し、畠山さん同様、沖に船を出して船を守った千葉さん。
197世帯のうち190世帯が津波に流された中瀬地区の区長として、避難所生活のなかでも人々のつながりを守ってきた佐藤さん。
家を流され、多くを失ったなかで、地元の復興のためにRQをはじめとする支援団体とのパイプ役として活動する3人が、人間が太刀打ちできない自然、大津波とどう向き合い、復興に向けて歩み始めたかを語ってくれました。
(休憩)
現地のボランティアに食事支援をしてくださっている
「ペイズリーキーマカレー支援会」のキーマカレー試食会
>ブログ:RQシンポジウムでキーマカレー
登米で活動した太鼓ボランティア、民俗芸能演技者「いのり修」さんグループの和太鼓演奏
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第2部
中長期の復興支援に取り組むRQのこれから
後半は、広瀬総本部長よりRQの第2フェーズについての説明と、パネルディスカッションによるビジョンの共有を行いました。
RQのこれから
広瀬敏通 RQ総本部長
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RQは、7/1から第2フェーズに入ります。
当初は、3ヶ月あれば事態の終息を得られると考えていましたが、活動開始してすぐ、この震災が到底そんな規模ではないと気づきました。
「RQはこれからどう動けばいいのか?」
そこで、頭に浮かんだのが自然学校という形です。
自然学校は、野外生活技術があり、コミュニケーション能力が高く、機動力があり、さまざまな活動をプログラムにして提供することができる。そして、全国にネットワークを持っています。
地域社会や復興に関わる全ての人々が集まり、これから先の未来について同じ方向を見ながら話せる場、それがRQの考える次世代自然学校の姿です。
各拠点で活動するボランティア、地域の方々、被災者の方々が一緒になって自然学校で働く姿を理想としています。
長期的に復興に関わるには、その地に根を張り、その地と自分自身の生き方とを重ね合わせなければ難しい。
奇しくも、最新の調査で分かったのは、全国の自然学校の活動テーマで目につくのが「地域再生」だということです。自然学校は雇用の場を作り、企業や新しい事業を呼び込み、地域産業を生み出す、共創の場となるはずです。RQは年内はボランティア活動を続け、震災1周年を目途に自然学校を稼働させたい。
今回の第2フェーズへの移行は、そのための動きです。これからも皆さんと一緒に進んでいきたい。よろしくお願いします。
>配布資料「次世代『自然学校』の共創を核にした復興支援構想」
ディスカッション
RQはどこまでいくか 〜復興に大切なこと、RQに期待すること〜
パネラー/広瀬敏通、佐々木豊志、
西村仁志(同志社大学政策学部・大学院総合政策科学研究科准教授)、
千葉正海氏、佐藤徳郎氏、阿部友昭氏(歌津中学校校長)
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広瀬:復興には「関心と行動が続く」ことが大事です。そして、これからは次を見る活動を進めたい。知らない土地で生活を始める生活仮設住宅の人々に、何をすべきなのか、自分たちで考え、ルールを作り行動する。そんな形が日本中で生まれて欲しいです。
佐々木:まず「孤立させない」こと。辛い顔を表に出せないリーダーを孤立させないことが必要です。そして、RQには「内発的なエネルギー」を期待したい。夢と希望さえあれば、新たな土地の開墾は辛くない。RQも、被災地の夢と希望を共有し前進して欲しいです。
西村氏:復興には「被災地のものを購入する」。それが、経済と雇用の活性化につながります。RQには、生きるために必要な水、食べ物、土地、そして、自然ひいては津波とすら共生する知恵を学ぶ場を作って継承し、DNAに組み込むところまで、やっていただきたい。
千葉会長:「自然のなかで学べること」が重要になります。3月11日、ガスも水もないなかで、火を起こしたり、魚を捕ったり…。子どものころ、海や山で学んだ知恵がとても役に立ったのです。RQの方々には、広瀬さんと佐々木さんの姿をしっかりと見ていただきたい。そして、美しかった歌津を1日も早く取り戻して欲しいと思います。
佐藤区長:「コミニティーの大切さ」を忘れないことです。津波に襲われてから4日間、誰がどこに避難しているのか、がれきをかき分け確認してまわったからこそ、二次避難にみんながついてきてくれた。仮設住宅での孤独死だけはあり得ません。RQには “お茶っ子”のようなソフトの支援を期待します。
阿部校長:まず、「行って実践すること」。被災者と向き合い、何が必要か知っていただきたい。そして「一に命、二に心、三に夢」。命を大切にし、心の声をあげ、子どもたちを育てるためにも夢を持とう。RQには、思ったことを臨機応変に行動に移し、歌津中学校歌の「友あり、道あり、明日あり」を託したいです。
閉会挨拶
高木幹夫(RQ代表・株式会社日能研代表)
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RQは、いろいろな人が集まり、リーダーがいなくなってもしっかり再生し、さらに、各地に散らばっても心を共有して広がっていくアメーバーの様な組織。
その代表という役割は、全国から集う志のある人たちに「やろうよ!行こうよ!」と声をかけ、RQのアメーバー、つまり仲間を広げていくことだと思います。
今日、畠山さんは今回の震災を「とても大きな自然現象」と言われた。
災害ではなく、何百年、何千年と長い自然の時間の中で「起こったこと」。
だからこそ、前に進んでいくんだ!という強い気持ちを受けとったのです。
自然と遮断された都会に暮らす私も、RQと関ったことで、「改めてゼロから考えよう!」と気持ちを強くしています。
RQの活動にも、いつか終わりがくるでしょう。ただ、関わった人々の「思い」に終わりはありません。きっと、それぞれの思いの中でつながっていくのだと思います。そして、RQは「今」に生きている。自らの言葉であっても、そのことに固執せず、「今、現場、支えたい相手」のことを一番に考えていきましょう。
RQシンポジウム
開催日:6月30日(木)
開場:14:30
開演:15:00(20時終了予定)
場所:東京代々木・国立オリンピック記念青少年総合センター
国際交流棟 レセプションルーム
東京都渋谷区代々木神園町3−1 >地図
参加費:無料
当日プログラム
第1部 15:00〜17:50「RQの成立からこれまで」
○15:00 開会(司会:中野民夫、川嶋直)
○15:15 被災地の概況とRQの活動
・佐々木豊志(RQ東北現地本部本部長・
くりこま高原自然学校代表)
○15:35 RQの活動についてのデータ
・中垣真紀子(RQ東京本部・
NPO法人日本エコツーリズムセンター理事・事務局長)
○15:45 RQを支えるボランティアリーダーの声
「各地ボランティア拠点の活動報告」
・RQ登米:新垣亜美さん
・RQ唐桑:三嶋義和さん
・RQ河北:塚原俊也さん
・RQ歌津:鈴木淳子さん、清水昭男さん
・RQ東京:八木和美さん
○16:45 被災地からの声「地元リーダーの現地報告」
・畠山信氏(気仙沼市 NPO法人森は海の恋人副理事長)
・千葉正海氏(南三陸町歌津地区 伊里前契約会会長)
・佐藤徳郎氏(南三陸町志津川 中瀬地区区長)
○17:45 休憩 現地ボラ食・キーマカレー/和太鼓演奏
第2部 18:15〜20:00「中長期の復興支援に取り組むRQのこれから」
○18:15 RQのこれから
・広瀬敏通(RQ市民災害救援センター総本部長・
NPO法人日本エコツーリズムセンター代表)
○18:45 ディスカッション
「RQはどこまでいくか」〜復興に大切なこと、RQに期待すること〜
・広瀬敏通・佐々木豊志
・西村仁志(同志社大学政策学部・大学院総合政策科学研究科准教授)
・千葉正海氏・佐藤徳郎氏・阿部友昭氏(歌津中学校校長)
○19:45 閉会挨拶
・高木幹夫(RQ市民災害救援センター代表・株式会社日能研代表)
○20:00 閉会