聞き書きをやっていて、自分に起こった変化で一番大きなことは、お話をより深く理解するために、もっと地域のことについて知識を深めたり、実際に確認しに行こうと行動するようになったことです。
また、一見聞き書きとなんのつながりもなさそうなことが、実は文化や風土を理解することにつながったりすることがあります。今日の少年たちとの出会いも、まさにその一つでした。
仙台から、登米方面に車を走らせると「伊豆沼」という広大な沼地のそばを通るのですが、今日はお約束の時間に余裕があったため、車を停めてゆっくりと散策をすることにしました。沼地と道路を挟んだところには広大な田が広がります。
北の地へ帰りそびれたか、大きなハクチョウが一羽、孤高の雰囲気を漂わせて立ちつくしていましたが、親しげに近寄ってきたカモを嫌うように沖へと泳ぎだしてしまい、カモもそれを追ったので、寂しげな風景になってしまいました。そこへ、小学校の低学年くらいの少年が3人、網とカゴを持って登場です。
そんな彼らの姿を遠くからそっとカメラで追いました。

彼等はとてもオープンで、興味しんしんで眺める私たちに獲物を見せてくれ(つわものメンバーは手づかみしていましたが)、フナの入ったカゴをときどき沼の水につけて体が乾かないようにしています。家に持って帰って、育てたり食べたりするそう。「しゃがんで待っていたら(フナに人間がいるのが)バレないよ」など、教えてくれます。
このあと聞き書きに伺った登米出身のかたにフナを召し上がるかどうかお聞きしたところ、川魚のフナを食べていたそうです。2~3日泥を出すために真水で飼い、それから、美味しい出汁がでるので汁ものにしたり、洗いにしたりしたとのことでした。
子供がこうやって自然の中で知恵を働かせ、体を使って遊んでいる姿を目にすることが少なくなった今ですが、世代を超えた知識を継承し、自然の中で遊ぶ彼らがとても愛らしく、また凛々しくもあった春のひとときでした。
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(写真・文 Dylan Sanders)