ここでは、今回の研修会で新たな試みとして行なった、Q&Aセッションの内容と、研修後に行ったアンケートの結果についてレポートします。
途中、講師の高田さんご自身が、練習にとご自身のおばあさまのライフヒストリーを聞き取り、逐語書き起こしをされたものが、今になってご自身にとってとても価値のあるものになった、というお話を伺い、聞き書きの練習にご家族の歴史を聞いてみる、というのも良いかもしれないなぁ、と感じました。

Q1 聞いた方言を生かす(理解し易くする)ための脚色というか、自分の解釈を加えてもいいのですか?

A1 メモから文章に書き起こすときは、そのまま話者の言われたとおりに書くのが基本です。そのほうが説得力があります。方言で補足説明が必要だったり、言葉の省略によって解釈がひつような場合は、カッコ書き改行にして、話者の言葉と区別がつくようにするとよいでしょう。
また、あいまいな点についてはすぐに録音した音声を聞きなおすのが一番効率的です。チームメンバーの個々の解釈であれこれ話合うのは時間を消費します。

Q2 限られた時間で成果物が人数分まとまれば、どのような形になるのかに興味がありました。語り手の方がこれをきっかけにして自分の人生について掘り下げたり、語り継ぐことの大切さに気付くという意義があると思いますが、短い時間にお話できることは限られるので、お渡しする自分史に(あとから思いおこしたことなどを書きくわえらるよう)語られなかった部分を余白として残すというのはどうでしょうか?

A2 最初にお話を聞き始めることが第一歩となります。そこから2回、3回とチャンスがあればお話を伺うこともできる場合があり、そのようにして内容を充実させるということもあります。

Q3 講義の中でスーバーバイザーが必要、と書かれていたが、できあがった自分史を登米で見たときに、ボリューム・内容ともバラツキがありました。機能していないのではないでしょうか。現地で話し手とアポイントをとったりする人(=コーディネーター)とは違うと思います。聞き取りをしたメンバーだけでのフィードバックでなく、質的・技術的なアドバイスをできる経験者=スーパーバイザーの機能を考えた方がいいのでは?

A3 現状では、文章に書き起こしたもの(ドラフト)をご本人にお見せして加筆訂正をお願いし、確認しながら完成させていくということをしていますが、スーパーバイザーの存在は確かにこれから重要になっていくでしょう。課題の一つだと思います。

Q4 間接的に聞いたことはわからない面があります。自分が聞き書きに参加したことは自分で書き起こしたいのですが、音声ファイルなどを持ち帰って自宅で作業をしてもよいのでしょうか。

A4 音声データから逐語録をおこせるのであれば、それに勝る資料はありませんので、その作業をご自宅で行っていただくことはかまいません。
※ 補足:ただし、講義の中でもふれたように、個人情報が含まれることに十分配慮していただき、取り扱いには注意を払っていただくようお願いします。また書き起こしたものは、責任を持って共有ストレージに格納し、全メンバーと共有してください。

Q5 ライフヒストリーを聞くということですが、どのようにして豊かなものにすればよいのでしょうか。

A1 ライフヒストリーは事実の羅列プラス個人の主観を通してみた経験であり、キャッチする人と話し手の双方で質問を答えを繰り返しながら作り上げて行くものです。最初に「これから伺うのはライフヒストリーですよ」ということをきちんと伝えて、軸のずれない聞き取りをすることが大切になります。話し手が乗ってくると、自分の興味の赴くままに細部に入りこんだ話になっていくことがありますが、そのときに適切な質問をして、話を遮り、もとの軌道に戻す必要があります。インタビュアーだけでは話を遮るのが難しいこともありますので、そのときはチームの他のメンバーが適切な合いの手を入れて、軌道修正を助けます。

Q6 聞きとることで話し手が生きる価値を見出す、というのはどこで感じられるのでしょうか?

A6 話し手は、ライフストーリーを語ることで自分に変化が起きていることを意識しないかもしれません。「話を聞いてもらえるだけで嬉しかった」というきょうの研修の話し手役の参加者のように、話すうちに元気になる方もおられます。文章にしてそれを読んではじめて変化が起こる方もいることでしょう。

※ 補足:聞き書きに行く前のミーティングでは、基本的な質問をまとめた「質問表」を共有して、こんなことを聞いてみよう、ということをガイドラインとして持っています。そのなかにこれからの希望について尋ねる質問があり、最初に見た時は津波でこんな目にあっている人に将来の希望など訊いていいのだろうか?と疑問があがりました。しかし、実際に聞き書きしてみると、みなさん将来の希望についてこうしたい、ああしたいと話してくださるのです。先入観を持たないことがたいせつなのではないでしょうか。

Q7 ライフストーリーを語っていただくのに、最初にする質問はなんでしょうか?

A7 「お生まれは?」からが多いようです。お話が進むと時系列が入り混じりはじめるので、しつこく「それはいつのことですか」「昭和何年ですか」と年代を確認するようにします。
※ インタビュー経験の豊富なエコセン副代表の山中さんによれば、たとえば、「今までの人生で一番楽しかった思い出は何ですか?」と問いかけて、話し手がそれについて話すうちに語ることに慣れ、あとのインタビューもスムーズにいくことがあるそうです。ご参考になさってください。

Q8 話し手の方が、語るうちに、感情が入りこんでうまくいかなくなったりしないのですか?その点が不安なので進めるうえでのコツなどあれば伺いたいです。

A8 感情がたかぶったら中断しようということになっています。クールダウンと呼んでいます。しかし、今までの経験上、語り手の方は津波の中生き残った方々であり、悲惨な話より助かった話を語る方が多いです。そして前向きに話しが終わっていくことが多いです。

アンケート結果

1) この研修を何でお知りになりましたか?

2) RQ市民災害救援センターの被災地支援活動についてはご存知でしたか?—-「知っていた」100%
また、いつごろかご存じでしたか?

3) RQ市民災害救援センターの被災地支援活動に参加されたことがありますか?

4) RQ市民災害救援センター以外の被災地支援活動に参加されたことがありますか?

5) 聞き書き活動について、ご存知でしたか?

6) この研修に参加する前には、聞き書き活動に対してどのようなイメージをもたれていましたか?もしくはどのような活動だとお考えでしたか?ご自由にお書きください。

  • 被災者の方々の人生を確かなものとして残し 今後の生活を前向きに過ごして行く事ができる助けになるような活動と感じました。
  • とても大切な活動だと思ってました(個人、地域、日本にとっても)。ひとりひとりの歴史にとっても興味があります。
  • 震災の時の話のみ聞くものだと思っていました。実際はカウンセリングでもなく、将来のためのデータ残しのような作業だと知り 興味をもちました。
  • 話を聞いて文章化する。
  • 聞き書きをやり、自分の歴史を確認し、これからの人生を再度生き直す為にやる活動だと思っていました。
  • 被災地の方にインタビューをする。
  • 聞き書きの作業のイメージはできていたつもりでしたが、目的が明確にわからなかった分、これkが何のため、誰のため・・?疑問がありました。
  • 一度だけですが現地で参加させてもらい、興味を持ち、今後も関わりたいと思った。
  • 個人的に出掛けて行って、話を聞く。
  • まったく想像つかなかったです。もっと一人でやると思ってました。
  • RQらしい着眼点での活動だと思いました。ただ、登米でも印象はとても閉じた活動のような印象を受けました。もう少し説明が欲しいかもしれません。
  • 震災の記憶を後世に残すための「聞き書き」だと思っていました。悲惨な話をたくさん聞かなければならないのかと、少し気分が重い活動だと思っていました。
  • その方の半生を振り返り自分の(本人の)人生を見つめ直すこと。そこから再構築したり意味づけをするきっかけとすること。
  • 写真を流されてしまった人などに、残るものを渡すというイメージ。
  • 目的のひとつに語る方の「こころの解放」もあるのかと思っていましたが。
  • その人その人の人生の歴史、経理をお聞きすることで、その話を今後の糧として残しいていくこと。話された方が自分の力に気付いて行くこと。
  • インタビューサイトのテープ起こしの経験がある為、逐語おこしをし、簡単にまとめるものと思っていた。
  • インタヴューをする作業的なイメージ。
  • 被災者の方に一番身近で接するコトができる。又、その方々の記憶を活字で起こし、お役に立てるのかな・・・と。
  • 語り手の言葉のみで文章を書きおこし、文章からその方の雰囲気やその時の様子が伝わるもの。事実だけでなく生きた歴史が残る。聞き手とのコミュニケーションから生まれる物語ができる。
  • 教授のお考えを直接お聞きできることを楽しみにしておりました。
  • 当初は録音したものを起こし、文章にするのかと思っていました。現地を東京の作業が別であることにびっくりしました。
  • 大学で心理学を専攻しており、インタビュー調査をして経験があります。また西村佳哲さんのインタビューをまとめた本を読んだことがあり、身近な存在でした。

7) それでは、研修に参加されて、RQで行う聞き書き活動に対して、どのような感想をお持ちでしょうか。ご自由にお書きください。

  • 人の入れ替わりが早いこと、質を上げること、保つことが課題かなと思いました。大学時に行ったインタビューとはまた異なり、どうして聞き書き活動をするのか分からなくなりましたが、最後のQ&Aで少し疑問がとけました。相手がいて行っているのであり、相手に最後 本を渡すのであれば質の向上は目指してほしいなと思いました。
  • やはり、何のために聞き書きをやるのか、という軸を共有し、常に意識しておくことが大事なのかと思いました。
  • 経験者、未経験者の両方の立場から、教授、東京本部の方とも連けいして課題や疑問等について濃いお話しができて、大変良い時間でした。また聞き書きしたいです。
  • 聞き書きチームが最後まで文章を完成させるものだと思っていたので、分かれて作成していることが意外でした。先生や経験者の方の話しを聞き、改めて自分も参加したい!と思いました。
  • 質問等に応えていただき、来たかいがありました。これからの目標にしたいと思います。
  • 話し手が自分の過去を振り返るという行為が、アイデンティティーの形成や再認識につながるという視点がとても勉強になりました。
  • 逐語おこしを簡単にまとめるものだと思っていたので、さらに本人に「本」としてお返しする目的がある為、「物語」を構築する作業が重要だと知った。
  • ボランティアの人が入れ替わりながら聞き書き活動を続けていくことの大変さが実感された。その中で活動をマニュアル化し、継続しているのにはとても頭が下がります。しかし、この活動が被災地にどのように役だっていくのかまだよく見えなかったので、そこがボランティアに伝わっていかないとなかなか継続も難しくなってしまうかなとも感じました。
  • その方の「個人史を拾い集め」・・地域文化の継承、まちづくりへ活かすという点にたいへん感心しました。
  • 意見をしましたが、時間の限られた中で限られたものだなという印象です。RQとしては数が集まることで地域史として書きとめたものだとは思いますが、「自分史」としてご本人に返すとすれば、語られなかった人生を書く余白(スペース)が欲しいと思いました。
  • 「ライフヒストリー」として聞くものだということが理解できました。また、人生を振り返ってもらい、その後に未来の希望を聞くと明るいことを語ってくださるという話を伺って「聞き書き」ボランティアの意義(地元の人にとって意味、価値がある活動であること)も納得できました。
  • 意欲と現状がよくわかったように思います。それでも、質的な向上と安定性を考えてもう少しのこだわりが持てないものかと思いました。せめて採話者が、もう少し本編の作成に関われるような工夫ができると良いと思いました。
  • ぜひやりたいです。できれば東京のライティングも参加したいです。
  • チームで行い、ミーティングをし、PCに入れ、東京で文章化し、現地の人ともちゃんとコンタクトを取っており、そしておかえしするなど、システムができてる。ただし、それを実際行う人も今日(の)3時間では即席だし、クオリティーを高くそろえるのは難しいだろうなと思った。ほんとに市民レベルの活動だと思った。でも実際今日はメモを取る役をやりましたが、ほんのちょっとでも数人でだれかその人のことを直接聞きとるって、スゴイエネルギーが動くのも、そして人の話を聞いていてもすごく深く何かが動くのも感じました。いろいろあって、どんな人生でもそのまま大切なその人の人生・・・って感じて・・・。とても価値ある仕事だと思いました。人間の仕事だと。ありがとうございました。
  • 現地で参加した活動と今回の研修での説明が異なっていて、現地との連携があまりとれていないのでは、と感じた。
  • 目的がわかり、現地ヒアリングの役割(ニュアンスなどとらえ、東京ライターに比べれば話者にできるだけ寄りそえること)など理解でき、参加してみたいと思います。
  • 最終的にどんな形にするのか、というのが気になっていて、まだ模索中のようなのですが、話者の方が「とても嬉しかった」という言葉をきき、お話を聞くこと自体にとても魅力を感じました。
  • 先生がおっしゃった通り、確かにカウンセラーではないので、そこまではできない。ただ、聞き書きをやり、個人手歴史を掘り下げた活動が元気にさせることに役立つ可能性があることがわかった。
  • まとめることを念頭において話を聞き出すことが大切ということが分かりました。
  • 書き起こし作業までやってみたいと思いました。
  • とても面白く、興味深かった。高田先生の経験豊かなお話し ひとりひとりの人生に価値を与える活動は今の日本に見出し切れない、社会からこぼれおちた価値観を活かす活動だと思います。
  • 自分がどこまでできるかはわかりませんが、ぜひ参加したいと思います。

8)RQでは、11月以降に、現地での聞き書き活動を実施したいと考えています。これに関しご案内を希望されますか?

9) 今後の聞き書き活動に対する期待や、ご提案、感想など自由にお書きください。

  • 是非活動に参加したいと思います。今日はとても意義のあるすばらしい研修に参加できたことに本当に感謝しています。ありがとうございました。
  • 必ず行きたい。12月以後、来年もあるといい。
  • 話者を体験し、短い時間でしたが「生きる価値の再認識」につながるチカラを持っている活動だと感じています。本人へのライフヒストリーのフィードバック、そして地域史につながるものになるまで見ていきたいです。
  • 7)の続きですが、現地での、また現地と東京チームの引き継ぎをもう少し強化した方がいいと感じました。
  • 次々にいろいろな用事がはいり、なかなか東北に行けません。でも、今日せっかく研修会に参加し、いつか必ずこのことを役立てたいと思いました。あっという間の3時間、ちょっと足りない気がしました。
  • とにかくやってみたいです。よろしくお願いします。
  • 自分史と称したビジネスが被災地で横行していると聞いています。真にその方のお気持ちに添える活動にするには、かなりの配慮と、スーパーバイザー的役割の存在が必要なのではないかと感じています。
  • 今後の活動がどういうかたちで形を残そうとしているかを明確にして、それをしっかり踏まえた活動ができればと思います。
  • 大変勉強になりました。ありがとうございました。
  • 夏にRQ支援活動に申し込みましたが、バススケジュール変更となったため、かないませんでした。次の参加の機会を探っている所ですが、聞き書き研修を受けることによって参加場所、活動範囲も広がると思い参加しました。聞き書きを含め必要な支援活動にぜひ参加させていただきたいと思っています。
  • 現地に役立つ資料がまとめられるといいな!と思いました。
  • 私は話が上手ではない(話すのも聞くのも)なので、能力的に不向きかもしれませんが、ご案内をいただければ幸いです。
  • 東京本部まで出てくるのにも意味のあるコトでしょうが、それら(運賃、宿泊費)にかかる費用を東北移動に使いたいので地元(京都)でも頻繁に密に連絡会や講習会等やってほしいです。
  • 多くの方のライフヒストリーを残し、本にまとめて完成してご本人に返せる活動にしていけることを期待しています。
  • 聞き書きの意図、方法等について違った解釈をしてしまう方がときどきいらっしゃいましたので、今回いのような事前の研修は、即戦力の育成に有効だと思いました。
  • 社会人(仕事あり)の人間でもできること、できる日程があれば教えていただきたいと思います。最後に、逐語録を残すかどうかで作業の話がでていましたが、やり方は共通にしておいた方がいいと思います。
  • グループ内で責任をもって完成させる人を決めて、完成させることを確実なものにしてはどうでしょうか。参加者によって難しいとは思いますが・・・。

<<聞き書き研修会<第2回>レポート(1)これからを一緒に考えよう

(写真:東京本部ボラ Charlie 文:東京本部ボラ:Dylan Sanders)

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