2011/06/19(日) 06:30AM 宿を出発 雄勝へ

 
朝です。いいお天気です!

今日の作業場所は雄勝。壊滅的被害を受けた場所です。バスの中から見える光景は、三ヶ月以上経っているとはとても思えない生々しさです。これは心してかからないといけない現場だということが分かりました。




小学校の三階の窓ガラスを突き破るほどの波がバスをビルの上に乗せ、家という家を文字どおり根こそぎ持って行ったその跡がずっとずっと続く様は絶句でした。一般人の姿はなく、自衛隊が僅かに活動する他はゴーストタウンと成り果てています。

 

危険区域を通り越して、浜に出ると、松に縁取られた岩肌、紺碧の海、鴎が飛び、ホトトギスがさえずり、海風は涼しい。素晴らしい場所です。津波が家家をさらって行くまでは。

まともな家などほとんど残らなかったうえ、台風が来て、僅かに残っていた浜辺の二軒も完全に壊されてしまい、砂に埋れてしまいました。

今日は、その砂地をきれいに掃除するのが仕事です。

今日は必要以上に天気がよいので、全員暑さ対策に必死です。首に巻く、濡らすだけで冷感の持続するタオルや、保冷効果の高い水筒、帽子にタオル、充分に準備をしてからはじめます。

砂は表面こそ乾いてさらさらとしていますが、スコップで少し掘れば、湿った重い砂になります。その中に、バラバラになった家財道具の痕跡が埋まっています。砂と、それ以外のものに分けてゆきますが、はじめてすぐ、かなりの重労働であることがわかりました。

 
2011/06/19(日) 09:00AM   生まれる前から愛してる
 
砂の中から偶然見つけたのは、産婦人科のエコー検査の写真でした。

いつか生まれるわが子の誕生を待ちわびる母の気持ち。友人が、子供ができたことを嬉しげに報告してくれた時に、エコーの写真を見せてくれたことを思い出しました。

母というものは、生まれる前からわが子のことを愛しているんです。

写真は、現場にいらしていた地元のおじいさんに訪ねたところ、「ああ、○○産婦人科だな。判るから置いていきな」と言って預かって下さいました。面倒なことお願いしてすみません…。棄てれば良かったかな?渡しにくい事情だってあるかもしれないし・・・。こういうこと一つ、どうしていいか、正解がありません。

どこからでも、掘れば家族の生活の痕跡が出てきます。一人でやっていたら、胸がつぶれてしまいそうです。

でも、今日は東京都狛江市からもボランティアが参戦です。人は、たくさんいたほうが、がんばれる! 木ぎれ、小石の間に、ふとん、パソコン、コタツなどのパーツが見つかっていきました。あっという間に、トン袋は満杯になって、ドンドンと並びました。


 
2011/06/19(日) 11:00AM   神様と暮らす、神様に見守られる
 
雄勝で最初に気付いたのは、現場に神棚や、守り札が置かれていることでした。

いろんなかたのブログなどを拝見して、神様と縁の深い土地柄であることを知ってはいましたが、

信仰が生活に根差していることを実感しました。

今いる場所が被災地であるということで、必ず津波がくることを想定して、じぶんがどこに逃げるかを確認しておく必要があります。

リーダーに確認したところ、「あの切り立った山を登れ」と言うので、絶対無理!と思ったので、ちょっと散策して見ました。鳥のさえずりと川のせせらぐ音の方向に歩いていくと、石造りの鳥居から階段が伸びていて、その先に狛犬を従えた神社がありました。

手を合わせると、捜索のヘリの轟音が静寂を突き破っていきました。

ここは、神様と暮らす場所なのだな、と改めて感じました。そして、何かあったら、ここにすがろうと思いました。

神様の暮らす山のふもとでは、木が根こそぎ倒されていました。そこに木漏れ日と、鳥の声が静かに注がれていました。


 
2011/06/19(日) 13:00PM タオルが砂まみれになる・・
 
暑さにくらくらしている自分がわかります。血が沸騰しそうです。もう体の動かし方なんかも、手足が好き勝手に動いていて、自分の体じゃないみたいに、砂の上では自由がききません。

首に巻いたタオルがずれていくのにも気が付かず、「あっ」と思うと、すでに砂の上に着地。砂まみれです。これを首に巻くわけにはいきません。

「洗ってきます」

沢の水をひいてあるので、使いなさい、と教えられた場所まで歩きます。
めちゃめちゃに壊れた車も手をつけることができないで、並んでいます。

ここは、お年寄りが避難する場所だったところですが、ここをはるかに越えた高さの津波に、全壊してしまいました。

すこし歩くと、長いホースをいくつもつなげた水道が引いてあるのが見えました。
シャンプーなんかも置いてあって、ここが今の生活水となっている様子がうかがえます。
ここまでひいてくださったご苦労を思いながら、タオルを洗いました。

さっ! また、ひと頑張りするか!
 
2011/06/19(日) 14:00PM 作業を終えて・・・
 
あっという間に2日間の週末だけの活動は終わってしまいました。

熱中症の初期症状か、軽い頭痛がします。もう自分のひ弱さ、軟弱さはわかっていてもさらに傷口に塩を塗りこまれるがごとくです。

正直に言って「何もできなかった・・・」という思いもあります。他の方がブログでこんなにきれいになりました、とか、こんなに喜んでいただきました、とかそういう話は一切ありません。

炎天下の労働はほんとうにきついものでした。達成感などというものとは程遠い感覚でした。

日陰もなく作業が続くと、集中力も途切れがちだし、目の前の砂山は余りにひろくて、余りに高いのです。掘っても掘っても、同じようなことの繰り返しなのです。

何かできたなどという実感は全然ないのですが、そんな気持より先に立つのは、むしろ、こんな作業を被災者の方自身でさせるわけには絶対にいかなかい、という思いでした。

それを身を持って感じられただけでも、ここへ来た意味があったと思います。

そして今感じることは、

東北の美しさを沢山の方に思いだしてもらいたい。そして、沢山の方に行ってもらいたい、ということに尽きます。

雄勝のおじいさんは、浜がキレイになったら来て、と言う。片付けに来て、なんて絶対におっしゃらないのです。

偶然出会ったサービスエリアの警備員さんは、家も流され、仕事場も流され、娘も亡くして、これ以上どう頑張れっていうの?と笑っておっしゃいます。

東北に行けば、どこに行っても津波の傷跡を心に抱えた方ばかりです。

それでも、遠くにいて「がんばろう」なんて言っていてほしくないのです。

もっと近くに来てほしい。そして知ってほしいのです。

早く今回出会った被災地に生きる方々が、やっぱり生きててよかった、って思える日が来ますように。

これからも小さな力でも、私が勇気をもって支援活動を続けていけますように。

そう願いながら、この日記を終えたいと思います。
(おわり)
 
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(WEBチーム Dylan Sanders)

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