—「こどもゆかたプロジェクト・レポート最終版—その2」—

 

8月11日の、東北沿岸一帯での花火大会「Light Up Nippon」は、東日本大震災で大きな被害を受けたエリアで同時に花火をあげ、なくなった方への鎮魂・復興を願う花火の夕べです。
これは全国からの寄付によって一発一発の花火があげられます。私たちの「こどもゆかたプロジェクト」もこのLight Up Nipponのように、被災地から遠くはなれた所からでも被災地を「日本人ならではのもの」で元気づけたいという考え方が一緒でした。

 

「こどもゆかたプロジェクト」を内々で準備していた5月、被災地で祭りをしようという話はまだ地元の方から出ていませんでした。祭りのしょうぞくや道具が流されてしまったところも多く、この状況下で地元の人たちに祭りを行う気持ちあるのかどうかもわからない、けれどこのニュースを知り、みんなが今だからこそ「祭り」が必要だって思っているとわかりプロジェクトを進める勇気が湧きました。

 

このイベントのホームページは今でも見ることができます。関係者のインタビューはとても心にしみるものです。よろしければホームページをのぞいてみてください。
そして、この夏、私たちの心配をよそに、地元の方の熱い思いで、沢山の祭りが開催される夏となったのです。そしてそれは、同時に全国からの応援、ボランティアの参加が欠かせない存在となった夏でもありました。

 

さて、8月11日、我らゆかた班は、夜、Light Up Nipponの開催地のひとつ、気仙沼市街へ向かいました。

 

夕方、花火が上がるという気仙沼市の漁港へつくと、そこでは灯籠流しの準備が行われていました。町の方に花火のことを訪ねると「特にイベント会場とかは、ありません。灯籠を流し、花火を各々の場所から見て鎮魂をします」との返事でした。そのお話に「全国からの心のこもった集まった寄付であげられる花火、落ち着いて集中して見たい」という気仙沼の方々のまっすぐな意思を感じました。
そう、今日は月命日、そして今はもう「お盆」なのです。

 

アウトドア系のボランティアファッションむき出しの自分たちはなぜかその灯籠流しの場所にいるべきではないような気がして、そこを後にし、別の場所を探すことにしました。45号線を南下していたら、道路沿いの丘の上に鳥居があり、そこにお父さんに抱き上げられている浴衣を着た子供がみえました。「あそこなら、人が集まっているかも」と車を止めて丘を登りました。

 

登ってみると境内はシーンと静まり返っていて、人影は少なくまだ7〜8人ほど、既にいる人に訪ねても「たぶんここなら見えるかな?と思って」という返事。神社の方が出てきて「ここからじゃ、山に隠れちゃって見えないんじゃないかな」とポツリ。こうなったら花火が見たいと思ってしまっている私は内心焦ります。

 

それでも、打ち上げ時間が近づくと三々五々人が集まってきて、なんだがにぎやかになってきました。
境内の丘から見る三陸、月明かりに照らされる穏やかな海と山が例えようもなく美しく、この景色を眺められたんだから、花火が見えなくてもいいか、なんてことを考えていたそのときです、正面でパッと火花がはじけました。そして、大きくまんまるの花火が広がり、ほどなくパーンッというあの威勢のいい音。
「ああ、あがった」ってみな口々に小さく叫びます。
落ち着く間もなく次から次へと色とりどりの花火が私たちの前に現れます。そばにはまんまるな月、穏やかな風、花火には最高のコンディション。家族連れで来ている人もたくさん、みな食べる飲むでもなくひたすら花火を見ています。
子供たちの「柳だな」などと覚えたての花火用語の解説が聞こえてくるのも心地よい。いつもの花火大会だと、側には縁日や人だかり、BGMなどでなんだが大にぎわいになるのが常ですが、この日はやはり特別な日、静かな穏やかな海に、まさに鎮魂というにふさわしい花火が上がっていました。無心に花火を見ることは被災地の方達にとってとても意味深いことだったと思います。

 

花火の明かりに照らされる美しい海、この美しい海が、沢山の方の命を連れて行ってしまいました。そして美しい海の手前には流されてしまい空き地になってしまった景色も照らし出されます。花火が上がって海がにその影が映るたびに、亡くなった方への祈りが光となって届いているように思えました。
そしてなぜか打ち上げている花火師の特別な熱い熱い思いまで伝わってきてしまう、そんな花火でした。
パーンと真正面に上がった花火
パーンと真正面に上がった花火。

 

境内の真正面に上がる花火、気付ば70人ほどの人に
(写真上)境内の真正面に上がる花火、気付ば70人ほどの人に、みな静かに花火を見守っていました。思い思いに祈りをこめて。

 

この日、ゆかたを着ていた子供は一人でした。そう、今宵はお祭りではなかったのかもしれません。でも、とても素敵な時間でした。今までも花火を沢山見てきたけれど、こんなに心のこもった花火はそんなに見られるものではありません。ボランティアをしていてよかったと思う夜でした。

 

お盆期間中、毎日のようにここ東北沿岸ではお祭りが開催されています。きっと子供たちがゆかたを着て、いつもの歳のような明るいお祭りを楽しむことでしょう。翌日からはゆかた班はお祭り応援隊としても活動をはじめます。そしてゆかた班はなぜかほぼ毎晩花火をみつづけることに!

 

東京ボラ・ゆかた班ささこ(つづく)

 

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