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Posted by 金 桐漢 (キム・ドンハン)

 

7月26日。 
この日は 極めて有意義 なんてものじゃなく、僕が今まで生きてきた中で一番衝撃を受けた日となった。
僕は東北本部での生活に慣れてきたので(言うまでもなく、昨日よりはというイミだけど)、わりと簡単に一日の流れに付いていくことができた。

 

僕が参加したチームは登米のセンターを7:20に出発し、歌津へ向かった。歌津は登米からさほど離れていないので30分くらいで到着する。
歌津へ向かう途中には、まさに信じられないような風景が広がっていた。僕はただ驚愕して言葉を失った。

メディアから流れる報道と自分の目で見る現実とでは感じ方があまりにも大きく違うのだ。メディアは出来事の一部を小さなフレームに押し込めて報道するけれど、自分の目は全ての情景を目の当たりにする。あらゆる瓦礫から災害の悲惨さがリアルに迫ってきた。
壊れた線路の上に家の屋根だけが落ちている様子は僕が驚愕を受けた風景の一つで、心を締め付けられるような眺めだった。


歌津センターは登米本部よりやや小さいけれど、革新的で環境を配慮した設備が整っている。

手作りといった感じの発電装置は大部分が太陽光発電によるものだ。

僕が歌津で行った活動は2つ。瓦礫の中から見つかった写真をクリーニングすることと、依頼された場所での瓦礫の撤去だった。僕は午前中に写真のクリーニング、午後に瓦礫撤去を手伝った。

 

写真のクリーニングは国連世界食糧計画(WFP)が建てたテントで行われた。写真を洗浄しながら、僕はいろんな事を考えた。写真とは普通、結婚式、子供の成長記録、楽しかった時の思い出みたいに、幸せな場面を写している。
写真に写っている子供の笑顔を見て、僕も思わず微笑んだ。でも、この子が助かったのかどうか知る人は誰もいない。この子が生きている事を願いながら、なんとか無事でいるようにと僕は祈った。

写真のクリーニングは作業としてはとても単純で簡単なものだ。でも多くの事を考えさせられる物凄く悲しい仕事だと思う。休憩中に地元の方が数人、テントにやって来た。そして、僕は貴重な話を傾聴することになる。僕は村に住む人たちの強い絆を感じていた。村の人たちはきれいになった写真の中からたやすく犠牲に なった人を見つけ出していく。

歌津で生まれ育ったおばあさんが僕に震災直後の事を語ってくれた。おばあさんは長い間東京に暮らしていて、地震が起きた時も東京にいたのだけれど、そこでは故郷の事は全く分からなかった。新聞社やテレビ局に電話をかけ、歌津の事を何か教えて欲しいと聞く事しかできなかった。大きな被害を受けた歌津の隣町、南 三陸町の事は良く知られている。でも、同じように津波で被害を受けた歌津のことはほとんど何も分からない。おばあさんにはこんな状況はとても受け入れられなかった。そして、僕にこう話してくれた。
「この震災で自分に何ができるのかを考えることはとっても大事だった。それで、思ったことをやってみることにしたの。これはどうするかを選んでいるようなことじゃなくて、やらなくちゃいけないことだって。

ボランティアのみんなが震災の為にしてくれている事全部に感謝しているのよ。もし別のところで同じように 地震が起こったとしても、私が同じことができるかどうかはわからないわ。でもね、あなたたちがしてくれたことは死ぬまで私の心の中に残っている。ありがとうね。」
僅か10分ばかりの話だったけど、僕の人生の中で最も大切な時間の一つとなった。僕は今まで考えたこともなかったような考え方に触れ、自分の人生を振り返ってみた。僕は人が生きていく事に対する教示も聞いた。それは僕の心に刻まれ生涯消えることはないだろう。

偶然にも、間もなくおばあさんは無作為に並べられた写真の中から自分の結婚式の写真を見つけ出した。僕はおばあさんが心から喜んでいる様子を感じた。とても感動的な瞬間だった。

瓦礫の撤去はとてもキツいし、注意しないと即座にケガをしてしまうような作業だった。僕はRQが店主から周りの瓦礫の撤去を頼まれているという被災したガソリンスタンドに行った。


その日はとても暑く、僕のスタミナはあっという間に切れてしまった。でも、作業を終えた後、ガソリンスタンドの店主が浮かべた満面の笑みを見て大きなやりがいを感じた。僕は彼とも話をして、彼自身や息子についての多くの貴重な話を聞いた。彼は僕のことも尋ねてきて人生についての話をしてくれた。彼は全てのも のを失ってしまったけれど、他の人たちに対する関心を持ち続け、色々と助言をしてくれた。彼は自分自身を失う事がなかったのだ。

今日、僕の人生は大きな感銘を受けた。僕自身の考え方も強い衝撃を受けた。僕はこの思いを失くしたくない。死ぬまでずっと忘れずに持ち続けていたい。
(完)

 

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◆◆  プロフィール:金桐漢(キム・ドンハン)くん ◆◆

 

韓国から来日3年めの17歳。家族と福岡に在住。RQの活動に参加した先生の活動報告に感銘を受け、自分も何かできることをしたいと、夜行バスに15時間揺られて西日暮里にたどり着いた、とても行動力のある青年です。現在は福岡第一高等学校の国際英語科の三年生。韓国語、英語、日本語を流暢に操る彼は、来年アメリカの大学に進学予定です。今回私たちの要望に応えて、彼の10日間のRQボランティア体験の記録を寄せてくださいました。

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