9/18は待ちに待ったデイキャンプの日。ボランティアたちは数日前からはりきって準備をし、子どもたちをむかえました。夏に二回行った2泊キャンプの参加者を中心にその友人たちも誘って子どもが集まり、お母さん・お父さんたちにも事前に食事や差し入れの準備をお願いして、「地元と作る遊び場企画」への第一歩です。
 

  
 歌津の田束山(たつがねさん)は、中世には多くの山伏たちが修行していた霊峰。キャンプ開始にあたって、奈良高野山から来ておられる災害現地本部ボランティアの山伏の方が「さえずりの谷 蜘瀧神社 開山式」を行うために来てくださいました。子どもたちが思い思いに復興の願いを書いた護摩木を集めて、護摩焚きを行います。

  「つなみが二度ときませんように」 「つなみのばか」
  「はやくまちがもどりますように」
  「ぜんこくふっこう ガンバロウ」
  「むかしのスーパーデッキがほしい」 (流されてしまった昔のゲームをなつかしんでいるのでしょう)
 
 竹で作った鳥居の前には、壊れた家から運び出された漁師さんからお借りした恵比寿・大黒さま像や、ボランティアによる木彫りの摩利支天像、復興リースの花や田束山のクモ滝で汲んだ霊水などが並べられました。その前に山伏さんが結界を張って護摩壇を組み本式の儀式を準備してくれます。護摩壇の火はマッチやライターではつけません。あくまで自然の火をいただくのが山の信仰の流儀。キャンプ担当のスパイダーが火起こし器を使って火をおこそうとしますが、早朝からあいにくの雨で木が湿っていることもあってうまく火起こし器が動きません。「みんな応援してくれ~。天狗を呼んでくれ~!」と悲鳴をあげると、子どもたちの呼び声と竹法螺の音に応えて、下駄をはいた長い白髪の天狗が森から降りてきました。そのたいまつの火をローソクにいただいて、山伏による護摩焚きが始まります。

 開始前には大騒ぎしていた子どもたちも、本物の山伏の儀式のおごそかな雰囲気に触れて、息を呑んで静かに見つめています。みんなの護摩木を火にくべて祈りを天にとどけ、霊峰へと深々と一礼して、いよいよキャンプが始まりました。
 

  
 谷には遊び場がいっぱいです。三月以降の避難所や仮設住宅暮らしでは、余震の心配や、工事車両などの往来のため、外で思い切り遊ぶ機会が少なくなり、そんな子どもたちのためにRQ歌津は、夏休みに地元キャンプを企画してきました。元気一杯……どころか二杯も三杯もありそうな子どもたちに、ボランティアスタッフは追いつくのも大変です。しかし子どもたちの親御さんも含め、大人たちも負けずに楽しんでいました。
  

   
  「子どもたちは遊びの天才」・・・まさにその通りでした。川で堤防を作ってカニやイモリを捕まえ、「キノコ山」を探検し、「おばけヤナギ」に登り、つる草をロープにして川渡り……ここに書ききれない程の沢山の冒険がありました。はしゃぐだけでなくその発想力にも驚かされます。藪を切り開いた先の「子どものまち」で、ヤナギの樹の枝をたわませて屋根を作ってあげると、「ここをコンビニにしよう」「ガチャポンを置こう」「ヨモギの葉をこねたら蚊取り線香になるかな」「新聞を作りたい」「オレの研究所にする」と、町や商店街の復興に尽力している地元の大人顔負けのアイディアを出して会議をしていました。
 

 
 キャンプのフィナーレは「お祭りごっこ」です。ごっこと言えども、(竹の)お神輿に(段ボールと風呂敷の)獅子舞、タイヤ太鼓を載せた(リヤカーの)山車こそ急場ごしらえですが、演じる子どもたちは本当の祭りでホンモノを扱ったことがあって、中身は真剣そのもの。お神輿をそれぞれの宝物(ススキのバッタや、つかまえたオニヤンマ、獅子頭の張子細工や、ササに短冊)で飾り付け、竹枠のあんどんに和紙を張り、獅子舞と太鼓の練習もして、さあ出発!

 神輿の担ぎ手は白い紙を咥え、十年前の祭りの記録ビデオの音声をパソコンで流す「音響さん」のお囃子に合わせてリヤカーに乗った子がタイヤ太鼓を打ち鳴らし、谷からRQセンターまでの道を練り歩きます。獅子舞とそれを先導する花笠の「ふっかけ」も、4年前の前回の三嶋神社大祭でそれを演じたことのある子どもたちで、動きはホンモノです。キャンプの昼食作りを担当してくださったお母さんも神輿かつぎに加わり、迎えに来られた親御さんたちにお披露目しました。大きな拍手の中、大盛況のうちにキャンプは終了しました。


 

 
 「この歌津では、お祭りが人々にとても大切にされてきました。それぞれの人に役割があって、みんなお祭りの話になると自分の役を誇らしげに話してくれます」・・・スパイダーが閉会式で話していました。子どもたちのお祭りごっこには、その歌津のお祭りがまた戻ってくるように、みんなで行なえるようにとの願いも込められています。
 
 僕自身は、以前ある映画監督が「子どもが元気になると、大人たちもみんな元気になる」と言っていたのを思い出し、今回のキャンプの企画にやりがいを感じていましたが、その言葉を実感するような一日でした。子どもたちの笑顔に、大人たちも、ボランティアスタッフたちも一杯元気を貰いました!
 
 by 歌津ボラ・ロバ

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