浜の街が全て流されて遊び場を失った子どもたちに、自然のなかにあるもので遊ぶ力を取り戻してもらおうという、「さえずりの谷」へやってくる子どもたちは増えてきました。10/10体育の日には谷での活動が東北放送で取り上げられたので、今後歌津外からの利用希望の声も出てくるかもしれません。

伊里前小学校でチラシをj児童全員に配布していただき、天狗ストーリーも子どもらのあいだで話題になって、休みの日の「さえずりの谷」遊びを楽しみにする地域の子どもが増え、9-10日のキャンプでは一部参加を含め30人以上が利用しました。先週「また泊まりたい」と言った2年生グループは、いざキャンプ直前にはなんとなく泊りがおっくうな感じになっていたのですが、参加して昼の遊びの楽しさに、テント泊決行へと傾き、お母さんたちに着替えを追加で届けていただいて、宿泊参加という結果になりました。決め手になったのは、先日登米市内の大きな古道具屋で購入した火鉢で作った、テントフライ下の「囲炉裏端スペース」と、そこでの天狗との対話の夜。前回に引き続き、里山での冬越しの智恵をいろいろと天狗から子どもたちは学びました。体を温める食べ物や、保温すべき身体の部位、その日実際に子どもが取り組んだ火おこしについてのさらなるアドバイスなど。

焚き火は、夏休みキャンプでの「マッチから材木につける」パターンから、火縄から自然木、そして今回は木をこすって火種をおこすところから挑戦する小学生ボランティアが現れました。「自然のものだけで火をおこせたら天狗の弟子になれるらしい」と言うと、他の子も興味深々。残念ながら一回目の挑戦は成功せず、初の快挙は次回以降に持ちこされそうです。マッチからつける焚き火は、低学年の子も慣れてきて、スギっ葉の貴重さを子どもたちは実感しています。森が乾いているうちにスギ枯れ葉や薪を集め、陽に当ててよく乾燥させて焚き火に備える。湿度が高くて夕方から全てのものが結露する歌津の「谷」生活では、その日課が欠かせません。大きな薪小屋があれば、冬に備えて大量のスギっ葉をとって乾かしておくこともできるので、谷に薪小屋と集会小屋を作る計画を思案中。地元の大工さんがアイデアをくださったので、あとは大工仕事のできるボランティアが来てくれれば、「谷」での冬の子どもや大人の交流プログラムをする拠点づくりが可能になるでしょう。

晴れた日の歌津は、昼間はテント内が40度以上になりますが、夜には5度近くまで外気温が下がる日もあります。今回は、テント下に断熱材を敷き、寝る前に「ドラム缶風呂」で身体を温めさせて、毛布と寝袋で寝てもらいました。幸い当日は10度近い夜間気温があって、子どもたちは寒さで目を覚ますこともなく、朝4時にはごそごそ起きだしました。再び囲炉裏端エリアに招いて、鼻水をすする子らに暖をとらせ、続いて朝風呂サービス。

昼間の活動では、化石さがしをして、先日の大水で土砂と一緒に流されて露出した岩に「アンモナイトのような化石」の大きなものが見つかり、子どもたちは大騒ぎ。翌日もさらに見つけようと列をなして、川(田んぼの排水路)沿いを行進しました。薄く鋭く割れる石は、そのまま打製石器になりそうなものがごろごろしていて、子どもたちは縄文人さながらにこれで蔓草を切ったり、粘土を切ったり。粘土(「歌津土」として陶土に適している)は、キャンプ場の水たまりから集め、焼けばそのまま縄文式土器づくりの追体験になります。ソーラークッカーを使って太陽光で乾かし、来週には風呂焚きの火で焼こうかという計画です。

もう定番になったペール缶オーブンでのクルミケーキ焼き。今回は地元からいただいた山ブドウの実をジュースにしたり、ケーキに混ぜたり。本吉から参加した子どものお母さんがケーキ焼きと食事作りを手伝ってくださり、複数のお宅から食材の支援もいただきました。ボランティアのお膳立てした既定プログラムどおりに進行するというよりも、子どもだけでなく大人が運営に参加し、その場で自主的に展開する遊び場として、「さえずりの谷」は確実に地域のコミュニティスペースになりつつあります。RQボランティアは、その「現場展開」に即応して子どもの発想や地元の力を活かす「触媒」の役割を、臨機応変に演じていくことが求められるのだと思います。

登米でのキャンプと時期が重なったこともあってか、連休最終日の2日めには子どもは山ほどかけつけたのに対し、RQボランティアが午後には「谷の住人」私一人という事態に。それでも、地元の仮設風呂ボラの鉄平さんや、歌津中校長の息子さん・ふみちん、そしてマウンテンバイク(MTB)プロジェクトの皆さんの助けを得て、食事作りやMTBでの大きな遊びが時間内に大いに楽しめました。泥に全身はまって鼻の穴のなかまで泥まみれになった子や、遊具のロープが切れて落ちて田んぼに尻もちをついた子など、普段はできない大きな遊びで、すり傷をつくって服をどろまみれにした休日でした。「むかしは毎日そうやって遊んだ」と親や祖父母のみなさんが語り、口々に「この場所で子どものころ遊んだんだ」と懐かしがられました。

何度も遊び場に足を運んだ子たちは、谷で開かれた朝のRQミーティングにも参加してボランティアに前日の遊びの報告をしたあと、「今日は君たちがリーダーをするんだぞ」と任命されて誇らしげ。「子どものまち」「魚竜大橋」「カフェ・さえずり」「化石広場」「竹の滑り台」「山伏の竹法螺」・・・自分たちが作って命名した新たな遊びコーナーを、新参の子たちに知ら せ、低学年が高学年に教えてあげる場面も。

あとは、片付けを子どもやボランティアがやれる時間をうまくとれれば言うことなしでしょう。毎日のことですが、野外キャンプ場である「谷」では、結露で錆びてしまう工具をテントの奥にしまうこと、調理器具や使い残しの食材を坂道をリヤカーで上のセンターまで運ぶこと、薪を片付けること、等々、夜までにしなければいけない「片付け」が大量にあります。最後はたいがい「谷の住人」ひとりで黙々と暗闇のなか片付け続け、夕食時間を過ぎてしまうのが日課です。

石泉活性化センターの建物内にボランティアの宿泊とミーティング場所が移ってから、天候の変化厳しい「歌津の野営」のリアリティは、「谷」と元のRQセンターの宿直でないとなかなか実感できないようになりました。この季節、深夜遅くに突風をふくむ雨が降ることも多く、田束山と海の間を渡る有名な強風の通路に、RQセンターは当たっています。先日は、台風でもないのに、強風で屋根テントが空に舞い上がり、事務所コンテナの上に落ちてブルーシート屋根を突き破り、テントは大破。寒さと強風の野外での厳しさに、まだまだ歌津では対応していかねばなりません。冬越しのための物資もまだ十分準備できていません。ある意味で、「谷」で遊びとして子どもが体験している「冒険」をRQの大人たちも見習って、この地で自然がもつ危険を克服していかねばらならいということかなと思っています。

それをやるために大切なのは、昔からここの自然と向き合ってきた地元の方々の知恵に学ぶことと、今後歌津センターが冬の地域支援プログラムを続けていくうえで必要な外部からの応援です。「さえずりの谷プロジェクト」は、地元の方の参加も得て今後の建設と活動内容を形作っていこうと考えています。そうした形のプロジェクトを支援して下さる個人、団体を求めています。

歌津(の町民に本日正式になりました) スパイダー・蜘瀧

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